禁煙治療標準手順書

喫煙のがんを始めとする健康に関する情報発信【参考文献7】

【参考文献7】

タイトル: A Randomized Trial of E-Cigarettes versus Nicotine-Replacement Therapy.
著 者: Hajek P, Phillips-Waller A, Przulj D, Pesola F, Myers Smith K, Bisal N, et al.
雑誌名: N Engl J Med. 2019;380(7):629-37.
リンク: https://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMoa1808779
【文献の紹介文】

この論文では、ニコチン入り電子タバコとニコチン置換療法の1年後禁煙率への影響を比較する多施設非盲検無作為化比較試験の結果を報告しています。
英国国民健康保険の禁煙サービスに通う成人を①ニコチン置換製品(最大3ヶ月)と②ニコチン入りの電子タバコ((スターターキット (リキッド入り) + 追加のリキッド一本))に無作為に割り付けし、1年後の禁煙率を検討しました。両群とも、少なくとも4週間の毎週の行動療法でのサポートを提供され、78.8%の参加者が1年後の試験終了まで参加し続けました。1年後の禁煙率は、電子タバコ群で18.0%であったのに対し、ニコチン置換療法群では、9.9%でした (相対リスク (RR), 1.83; 95% 信頼区間 [CI], 1.30 - 2.58; P< 0.001)。1年禁煙成功者では、電子タバコ群では80%が、ニコチン置換療法群では9%が各製品を1年後も継続使用していました。

【紹介者コメント】

タバコをやめられない方にとっては、紙巻きタバコを吸うよりは、電子タバコの方がまだまし(害が少ない)であろうというハーム・リダクションの立場での報告です。紙巻きタバコがニコチン入り電子タバコに切り替わったことを禁煙できたということにして良いのかは議論を要します。依存症からは回復できていないわけであり、計算するとニコチン製品から離脱できた割合は電子タバコ群3.6%, ニコチン置換療法群で、9.0%となります。
また、本論文は、禁煙外来に通院して医師の助言や指導下で電子タバコを使用した報告であり、喫煙者個人が市販品を用いて任意に切りかえたものではない、という点に注意して解釈することが必要です。

担当委員: 川井治之 (岡山済生会総合病院 内科 がん化学療法センター)