禁煙治療標準手順書

喫煙のがんを始めとする健康に関する情報発信【参考文献6】

【参考文献6】

タイトル: Attributable causes of cancer in Japan in 2005--systematic assessment to estimate current burden of cancer attributable to known preventable risk factors in Japan.
著  者: Inoue M, Sawada N, Matsuda T, Iwasaki M, Sasazuki S, Shimazu T, Shibuya K, Tsugane S.
雑誌名: Ann Oncol. 2012 May;23(5):1362-1369. doi: 10.1093/annonc/mdr437. Epub 2011 Nov 2.
リンク: https://www.annalsofoncology.org/action/showPdf?pii=S0923-7534%2819%2934697-6
研究グループのリリース: https://epi.ncc.go.jp/can_prev/evaluation/2832.html
【文献の紹介文】

この論文は、これまでに報告された日本人に関する疫学研究の結果を集め、喫煙や感染など、様々なリスク因子を取り除いた場合、日本でどのくらいがんが予防できるのかを調べた研究報告です。喫煙などある特定のリスク因子がなかった場合、がんが何パーセント減少するかを示す指標を人口寄与割合と言います。この研究では、それぞれのリスク因子の様々ながんに対する人口寄与割合を求め、それを合計することによって、個々の因子が日本人のがん発生やがん死亡にどのくらい関わっているかを調べました。結果は、日本人のがんによる死亡の24.1%がたばこ(うち、受動喫煙が0.9%)、ピロリ菌や肝炎、ヒトパピローマウイルスなど感染によるものが21.7%、飲酒によるもの6.2%であった反面、食事や運動不足、肥満など、欧米では大きな問題である因子の寄与はかなり小さいものでした。日本人のがんの原因の多くを占めるたばこと感染のうち、ピロリ菌による胃がんや肝炎による肝がんなどの感染によるがんは大きく減少傾向にあり、今後、がんで亡くなる人を減らすためには、喫煙対策がさらに重要となることが示唆されています。

【紹介者コメント】

日本人におけるがん対策を考える上で、どういう因子がどれだけの影響を与えているのか、という事を証拠として積み重ねて行くことが重要です。限られた時間やリソースにどういう優先順位を付ければ良いかを考える基礎となるデータです。こうしたデータや証拠に基づく政策立案を積み重ねて行くことが、皆さんをがんから守ることに繋がって行きます。

担当委員: 山本 精一郎 (国立がん研究センター がん対策情報センター)