日本癌学会禁煙宣言

日本癌学会禁煙宣言2016年2月1日改訂

内外で行われた多くの研究から、たばこはがんの重要な原因であり、また受動喫煙により非喫煙者の肺がんなどの原因であることも明らかにされている。さらに、がんのみならず、心疾患や呼吸器疾患等、たばこが関与する疾病は数多く、わが国では年間約13万人の命がたばこによって失われている。

早くから喫煙率が低下した欧米諸国では、その数十年後に肺がん死亡率やがん死亡率の低下が観察されている。一方、わが国では肺がんは1998年には胃がんを抜いて最も死亡数の多いがんとなったが、昨今の喫煙率の低下にともない最近になってようやく上昇傾向が止まった。

2003年には健康増進法が施行され、第25条で受動喫煙防止が規定された。一般義務第5条第3項に「公衆衛生政策をたばこ産業の干渉から保護する」ことが盛り込まれているWHOたばこ規制枠組条約(FCTC)は2005年に発効し、2007年にはがん対策基本法が施行された。2012年に策定された第2期がん対策推進基本計画においては、国として初めて、喫煙率削減目標が策定された。

このような現状を踏まえ、日本癌学会はたばこ対策の一層の推進のために、日本癌学会の会員に対して以下の第1項から第5項を、たばこ対策関連機関(厚生労働省、文部科学省、財務省、地方公共団体、その他の関係団体)に対して第6項から第10項を、一般国民・社会に対して第11項を呼びかける。

  1. たばこの健康への悪影響のさらなる解明、効果的な禁煙方法の開発、その他わが国のたばこ規制に資する研究を推進する。
  2. 会員は喫煙関連産業または喫煙関連産業からの出資金で運営される団体等からの研究助成を受けない。また、これらの資金提供を受けた研究については、日本癌学会の学術集会での発表および学会誌への投稿を認めない。
  3. 会員が所属する施設の敷地内全面禁煙化を推進し、社会的な範を示すと共に、喫煙する会員は自らの禁煙に努める。
  4. あらゆる機会を捉えて、国民や患者にたばこの害を説き、禁煙を呼びかける。
  5. 日本癌学会学術総会、その他日本癌学会が主催する会合の会場施設は禁煙とする。
  6. たばこの害に関する健康教育と未成年者の喫煙防止対策を推進する。
  7. 医療や健診等の場で全ての喫煙者への禁煙勧奨と禁煙希望者に対する治療・支援対策を推進する。
  8. 受動喫煙による非喫煙者の健康への悪影響を防止するために、レストランを含む不特定の人が出入りする場所や職場の全面禁煙化を推進する。
  9. たばこの広告および自動販売機の規制、警告文書を強化する。
  10. たばこを欧米先進国並に値上げし、増収、増税分の一部をたばこ規制の推進費に充てる。
  11. 未成年者の喫煙防止と禁煙支援に努め、非喫煙者には受動喫煙の害が及ばないよう努める。

※第2項は2017年1月からの施行とする