日本癌学会からのお知らせ

日本癌学会「大阪宣言2010」

日本癌学会は、本日開催された第69回日本癌学会学術総会特別企画で、「今、がん研究で求められること−がん研究に関する提言−」と題して、学会、大学、患者会、製薬企業、行政、立法、マスメディアの関係者を交えて検討した。その内容を、日本癌学会「大阪宣言2010」として広く社会に公表し、関係者一同この基本方針に沿って努力することを宣言する。

◆ 宣言内容 ◆

我が国のがん研究においては、基礎研究は比較的順調に進んでいるものの、臨床研究は諸外国に比べ立ち後れていると言わざるを得ない。また、基礎、臨床にかかわらず、我が国のがん研究領域においては、研究財源・予算配分や人材育成に関して、国家的規模での戦略性が発揮できるような体制になっていない。さらに、がん研究や新薬開発においては、各ステークホルダー間の連携が十分でなく、迅速に研究開発を推し進めるための体制がないなどの問題が指摘された。この現状に鑑み、産学官患医が一丸となり、以下の3つの課題と立ち向かい解決していくことでがん研究を活性化し、がんで苦しむ人がない社会を目指す。

<研究資金>

2人に1人ががんになる時代にあって、がん研究の推進は国民的な最重要課題の一つであるが、その資金は欧米諸国と比較して、必ずしも十分ではない。国家的な戦略性を持って研究財源の確保及び予算配分ができるよう、関係省庁が一体となって対応できる体制の構築を、政府に対して強く要請する。

<人材育成>

将来を見据えた戦略的な人材育成のあり方を検討する体制の構築に向けて、日本癌学会自ら努力するとともに、日本医学会を始め学術集団や全国の大学、研究機関に働きかけ、がん研究分野で世界をリードできる人材を創出する。

<国民との協働>

がん研究には国民の理解と協力が不可欠である。がん登録や患者データベース化を含めたがん研究全般や新薬開発等の推進については、研究者、患者・国民、製薬企業等が互いに理解を深め、一丸となって協力できるよう、国民の納得に基づく協働を可能とする関係の構築に努力する。

2010年9月23日

日本癌学会理事長 野田哲生
第69回日本癌学会学術総会会長 門田守人